昨日も言ったのに、今日また同じことをしている。
おもちゃを投げる。
踏んだら壊れると言っているのに、床に置きっぱなしにする。
小さなパーツをあちこちに持っていって、また一つ見つからない。
「それ投げたら危ないよ」
「踏んだら壊れるよ」
「使ったら元の場所に戻そうね」
そのときは「分かった」と言う。
でも、しばらくするとまた同じことをしている。
そんな姿を見ていると、
「何回言ったら分かってくれるの?」
と思ってしまうことはないでしょうか。
私なら、たぶん思います。
最初は普通に注意していたはずなのに、2回、3回と続くと、
「昨日も言ったよね?」
「なんでまたやるの?」
と、だんだん口調も強くなってしまいます。
でも今回、子どもがおもちゃで何度も同じことを繰り返すのはなぜなのか調べてみると、少し意外なことが分かってきました。
もしかすると、
「何回言っても同じことをする=言ったことを分かっていない」
とは限らないのかもしれません。
そしてもう一つ。
大人から見ると「乱暴な扱い」にしか見えないことも、子どもから見ると少し違っている場合があるようです。
今回は、子どもがおもちゃを投げたり、変わった使い方をしたり、何度注意してもまた同じことを繰り返したりする理由について調べてみます。
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「何回言ったら分かるの?」本当に分かっていないの?
昨日、おもちゃを投げた。
「投げたら壊れるからやめようね」と話した。
子どもも「分かった」と答えた。
ところが今日、また投げている。
こうなると、
「昨日言ったよね?」
と言いたくなります。
何度も繰り返されれば、
「何回言ったら分かるの!」
となってしまうこともありますよね。
でも、ここで一つ分けて考えたいことがあります。
「分かっていること」と「その瞬間に行動できること」は、同じではありません。
幼児期は、自分の行動や感情をコントロールする力も発達の途中です。
国立教育政策研究所が3~5歳児を対象に行った研究でも、幼児期の「実行機能・抑制」について、ワーキングメモリや切り替え、感情抑制、行動抑制といった側面が調べられています。
つまり、
「おもちゃは投げたらダメ」
というルールを知っていても、
腹が立った。
興奮した。
面白くなった。
そんな瞬間に、いつでも自分の行動を止められるとは限りません。
昨日と同じことをしたからといって、
「何も分かっていない」
「反省していない」
とまでは言い切れないのです。
もちろん、人に向かって投げているなら止めなければいけません。
壊す危険が高いなら、それも止めます。
でも、
「何回言ったら分かるの!」
だけで終わるのではなく、
「これは投げないよ。投げたいならボールにしよう」
と、次にできる行動を具体的に伝えてみる。
同じ場面でも、親から見えるものが少し変わってくるのではないでしょうか。

大切なおもちゃなのに、どうして壊すの?
もう一つ、親には理解しにくいことがあります。
ずっと欲しがっていたおもちゃを買った。
渡したときは大喜び。
毎日のように遊んでいる。
それなのに乱暴に扱って、壊してしまった。
そんな姿を見れば、
「本当に大切なら、もっと丁寧に扱うはずでしょ?」
と思いますよね。
ところが、「大切に思っていること」と「いつも丁寧に扱えること」は、分けて考えた方がよさそうです。
2~4歳の子どもを対象にした所有意識の研究では、3歳頃になると、見た目だけでなく「どれが自分に与えられた物なのか」という物の履歴を手がかりに、自分の所有物を判断できることが確認されています。
また、所有すること自体が、その物への評価に影響することも示されています。
小さな子どもにも、
「これは自分の物」
「これは自分にとって特別な物」
という感覚は育っていきます。
ただし、それと「壊さないように、いつでも力加減を調整して扱えること」は別です。
考えてみれば、大人だって似たことがあります。
大切なスマートフォンを落とすことがあります。
大事にしている車を擦ってしまうこともあります。
だからといって、
「本当は大切じゃなかった」
とはなりませんよね。
まして、行動や感情をコントロールする力がまだ発達している途中の子どもです。
お気に入りのおもちゃを壊した=物を大切にする気持ちがない
と、すぐに決めつけなくてもいいのではないでしょうか。
「せっかく買ったのに」は、親にしか見えていない
ここでもう一つ、子どもではなく、親側の気持ちも考えてみます。
たとえば、5,000円のおもちゃを買ったとします。
でも親が感じている価値は、5,000円だけではないですよね。
どれがいいか調べた時間。
店を探した時間。
働いて得たお金。
「喜んでくれるかな」と考えた気持ち。
それら全部が、そのおもちゃに乗っています。
だから壊されたとき、
「せっかく買ったのに!」
という感情が出てくる。
それ自体がおかしいわけではありません。
ただ、小さな子どもからは、その背景までは見えません。
親には、
5,000円+時間+思い入れのあるおもちゃ。
子どもには、
今、目の前にある遊びたいおもちゃ。
同じ物を見ていても、感じている価値は同じではありません。
そう考えると、親が感じている「もったいない」を、そのまま子どもにも求めるのは少し難しいのかもしれません。
プラレールの線路を剣にしたら「そんな遊び方しない!」?
おもちゃを大切にすることを考えていると、もう一つ難しい場面があります。
車のおもちゃを走らせず、ひっくり返してタイヤばかり回している。
積み木を電話に見立てている。
電車の線路を剣にしている。
おもちゃが入っていた箱の方を気に入って、秘密基地にしてしまった。
大人から見ると、
「それ、そうやって遊ぶ物じゃないよ」
と言いたくなることがあります。
でも、子どもにとっては、それも遊びです。
ここで区別したいのは、
「本来の使い方と違う」ことと、「物を粗末に扱う」ことは同じではない
ということです。
もちろん、線路を振り回して人を叩くなら止める。
折れるほど無理に曲げているなら止める。
危険なことや、本当に壊してしまいそうなことには、大人が線を引く必要があります。
でも、
「線路は電車を走らせる物だから、それ以外の遊び方は禁止」
とする必要まであるでしょうか。
大人が決めた「正しい遊び方」から外れただけで、
「物を大切にできない子」
と判断しない。
安全か。
壊してしまうような扱いか。
それとも、子どもなりに新しい遊びを考えているだけなのか。
一度そこを見てから声をかけても遅くありません。
対象年齢についても似たところがあります。年齢表示と違うおもちゃを好むと「発達に合っていないのかな?」と心配になることがありますが、以前の記事では、おもちゃの対象年齢を気にしすぎなくてもいい理由について詳しく調べています。

では、「人から借りたおもちゃ」だったら?
ここまで読んで、
「自分で買ったおもちゃなら、それでもいい。でも人から借りた物なら話は別でしょ?」
と思った方もいるかもしれません。
私もそう思います。
友人から借りたおもちゃを、子どもが乱暴に扱っていたら、
「それ借り物だから!大切にして!」
と、普段以上に注意するでしょう。
もし壊してしまえば、同じ物を買って返したとしても、
「大切にしていた物だったかもしれない」
という申し訳なさは残ります。
お金を払えば全部元通り、とはいきません。
だから、借り物に慎重になるのは当然だと思います。
では、同じ「借り物」であるおもちゃサブスクはどうなのでしょう。
調べてみると、ここに普通の借り物とは少し違う仕組みがありました。
おもちゃサブスクは、子どもが夢中で遊ぶことまで考えていた
代表的なおもちゃサブスク3社の、現在の破損・紛失ルールを確認しました。
| サービス | 通常の遊びによる破損・汚れ | パーツ紛失 | 主な例外 |
|---|---|---|---|
| And TOYBOX | 原則弁償不要 | 1個330円、1商品上限1,320円 | 主要部分の紛失、水没、著しい屋外汚損、ペン・ハサミ、ペットなど |
| トイサブ! | 原則弁償不要 | 原則弁償不要 | 本体・本体相当のパーツ・多数のパーツの紛失、不適切な使用など |
| Cha Cha Cha | 原則費用なし | 原則費用なし | 本体等の紛失、使用不能になる紛失、ペット、大人の不注意、タバコなど |
※2026年10月1日時点で各社公式サイトを確認。補償条件は変更される可能性があるため、利用時には最新情報をご確認ください。
And TOYBOXは「乱暴に見えても、本人は夢中なだけ」と考えている
And TOYBOX公式サイトを確認して、特に印象に残った説明があります。
通常の遊びで起きた故障や破損は弁償不要としたうえで、子どもの遊びは、大人から見ると乱暴に見えても本人は夢中になっているだけの場合がある、と説明しています。
さらに、弁償が気になって親が遊びを止めてしまうことは本意ではなく、夢中になっている子どもを見守ってほしいという考えまで示しています。
これって、単に、
「壊れても弁償しなくていいですよ」
という話とは少し違いますよね。
子どもが夢中になって遊ぶ中では、傷がついたり、壊れたりすることもある。
そこまである程度想定したうえで、おもちゃを貸しているのです。
ただし、何でも補償されるわけではありません。
水回りでの使用や水没、著しい屋外汚損、タバコの臭い、ペンやハサミによる汚損・破損、ペットによる破損などは「通常の遊び」の範囲外として扱われる場合があります。
またパーツ紛失は1個330円、1商品につき上限1,320円。主要部分をなくした場合は、そのおもちゃを買い取る場合があります。
「なくしたらどうしよう」で遊ばせられない親は、本当にいた
さらに興味深かったのが、トイサブ!です。
トイサブ!は現在、汚れ・破損・パーツ紛失について原則弁償不要としています。
小さな子どもは夢中になって力いっぱい遊ぶことも多いため、禁止事項に当たらない範囲なら、破損を気にせず遊んでほしいと公式に案内しています。
でも、もっと興味深いのは、現在のルールになるまでの経緯です。
2022年まで、パーツ紛失には弁済ルールがありました。
すると利用者から、
「パーツをなくすことが心配で、トイサブ!のおもちゃで思う存分遊ぶことができない」
という趣旨の声が多く寄せられたそうです。
そこでトイサブ!は2022年11月、子どもに思い切り遊んでもらいたいとして、パーツ紛失を原則弁済不要へ変更しました。
これを知ったとき、私は少し納得しました。
「借り物だから、なくさないで!」
そう思ってしまう親は、決して珍しくなかったのです。
そして、その心配によって子どもを思う存分遊ばせにくくなっていることを、サービスを提供する側も実際に認識していた。
今回調べてきた、
「借り物だから」と親が必要以上に遊びを制限してしまうかもしれない
という問題が、実際の利用者の声として存在していたことになります。
現在も通常のパーツ紛失は原則弁償不要ですが、本体、本体相当の重要パーツ、多数のパーツなどの紛失は弁償対象になる場合があります。
Cha Cha Chaも「思いっきり遊んでほしい」
Cha Cha Cha公式サイトにも、同じ方向の考え方があります。
子どもたちに思い切り遊んでほしいという理由から、パーツ紛失・キズ・破損・汚損については原則として費用を取らないとしています。
ただし、本体そのものやセット全体をなくした場合、紛失によっておもちゃとして使用できなくなった場合、ペットによる破損や汚損、大人の不注意や乱暴な扱い、タバコの臭いなどは費用が発生する場合があります。
注意
「原則弁償不要」は、「何をしても弁償しなくていい」という意味ではありません。各社とも通常の遊びを超える破損・汚損や、本体・重要パーツなどの紛失には例外があります。利用するときは、各社の最新ルールを確認してください。
3社を調べて分かったのは、単に「弁償代が安い」ということではありません。
程度や条件に違いはありますが、
幼児がおもちゃで夢中になって遊べば、傷がついたり、壊れたり、パーツをなくしたりすることもある。
そんな現実を、ある程度サービスの仕組みの中に組み込んでいます。

「壊してもいい」ではなく、「子どもらしく遊んでもいい」
ここは、誤解したくないところです。
おもちゃサブスクは、
「借り物だけど、壊してもいいサービス」
ではありません。
人に向かって投げているなら止める。
わざと壊そうとしているなら止める。
なくしたパーツがあれば、一緒に探してみる。
物を大切にすることを教える必要がなくなるわけでもありません。
ただ、
「借り物だから傷一つつけないで」
「パーツを絶対になくさないで」
「そんな変な遊び方しないで」
と、親が必要以上に神経質になる必要もなさそうです。
購入したおもちゃ。
親にとって思い入れのあるおもちゃ。
友達から借りたおもちゃ。
サブスクで届いたおもちゃ。
大人にとっては、それぞれ意味が違います。
でも、小さな子どもにとっては、どれも目の前にある「遊びたいおもちゃ」です。
だからこそ、大人の目線をほんの少し子どもの高さまで下げて、
「どうしてそんな扱いをしたの?」ではなく、「この子はいま何をしようとしているんだろう?」
と見てみる。
昨日注意したことを今日またやっていても、何も伝わっていないとは限りません。
お気に入りを壊したからといって、大切に思っていないとも限りません。
大人が想定していない遊び方をしているからといって、物を粗末にしているとも限りません。
以前、おもちゃサブスクの「ハズレ」は本当に失敗なのかという記事でも、親が予想していなかったおもちゃとの出会いについて考えました。
今回調べてみて感じたのは、おもちゃの選び方だけでなく、遊び方についても、大人が少しだけ答えを決めすぎない方がいいのかもしれないということです。
そう考えると、おもちゃサブスク各社の破損や紛失に対するルールも、単なる「弁償代がお得」という話とは少し違って見えてきます。
この記事で伝えたいこと
子どもがおもちゃを壊したからといって、「物を大切にできない」とは限りません。
分かっていても行動を止められなかったり、大人とは違う方法で夢中になって遊んでいたりすることがあります。
おもちゃサブスク各社も、子どもが実際に遊ぶ中で起こる破損や紛失をある程度想定したルールを設けています。
おもちゃを守ることだけでなく、子どもが何をしようとしているのかを見る。
サブスクは、そのために親が少し肩の力を抜ける選択肢にもなりそうです。
もちろん、サブスクだから必ず気楽に遊ばせられるとは限りません。
借り物であること自体がどうしても気になる人なら、自分で買ったおもちゃの方が気楽な場合もあるでしょう。
でも、
「うちの子は乱暴だから、レンタルなんて絶対無理」
と思っていたなら、破損や紛失のルールまで一度確認してから判断しても遅くありません。
「壊したらどうしよう」とおもちゃを守ることばかり考えるのではなく、
この子は、このおもちゃで何をしようとしているんだろう。
そんなふうに子どもの遊びを見る余裕を作ってくれること。
それも、おもちゃサブスクを利用する一つのメリットなのかもしれません。
実際にサブスクを検討するときは、料金だけでなく「どんなおもちゃが届くのか」「どのくらいの頻度で交換するのか」まで含めて考える必要があります。当サイトでは、条件を入れて比較できるおもちゃサブスク料金シミュレーターも用意しています。

編集・案内担当

みさき|おもちゃ買取の教科書 編集担当
おもちゃの「買う前」より、買った後に起きる悩みを中心に調べています。買う・借りる・売る・残すを一つの正解にせず、家庭に合う方法を公式情報や研究も確認しながら考えます。
※「みさき」は当サイトの記事を案内する編集上のペンネームです。


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